ヤングケアラーの課題と支援について

ヤングケアラーとは大人が担うような介護や家族の世話を行う18歳未満の子どもや若者で、ヤングケアラーの社会の認知度は低く、理解を得られにくい現状です。

今年3月には埼玉県が全国で初めてケアラーを支援する「埼玉県ケアラー支援条例」を制定し、今年10月には教育現場でのヤングケアラーの実態調査に向けて国が動き始めました。

神奈川ネット介護保険プロジェクトチームでも、ヤングケアラーの課題と支援策について学習会を開催し、いきいき福祉会代表、小川泰子さんのコーディネーターのもと、藤沢市議の竹村雅夫さんからヤングケアラーの実態についてお話を伺いました。

日本ではヤングケアラー調査が、2015年に新潟県南魚沼市、2016年に藤沢市で実施されています。竹村さんは藤沢市の調査依頼の呼びかけ人でもあります。

20年前にできた介護保険制度は介護の担い手モデルが専業主婦で、共働きやひとり親家庭が増加した現代社会には制度が合っていない状況です。介護者の半数以上が働きながら介護をしており、介護離職者は年間10万人にも上ります。また、2018年の調査では3割がダブルケアの経験があり、介護を苦に無理心中をする介護殺人は年間40~50件(10日に1件)起きており、介護者たちへの支援が急がれます。少子化や晩婚が進むにつれて、家族全員で介護をする時代に変化しています。

ケアラーである子どもたちは周囲の無理解への諦めや、周りに知られたくない思いが強く孤立しがちです。また、学校が家庭のことに介入しづらく実態が見えづらいことも問題を深刻化させています。藤沢市の調査結果からは、「現在のクラスにヤングケアラーがいるか」に16%が「いる」と回答しており、「かつて出会ったことがある」では半数に上っています。「幼い兄弟の世話のために早退する」「日本語のわからない外国籍の母親の病院に通訳として付き添う」「心を病んでいる母親が心配なので、欠席して付き添う」などで、心の病を抱えた親をケアするケースが多く見られました。過度な負担を強いられた子どもたちが不登校や中退という道を選んでいくと、将来的にも不利になり、子どもたちにケアが必要な状況にもなりかねません。まずは、ヤングケアラーという社会問題を担任や養護教諭がよく知り、教員間の意識の差をなくさなければいけません。

ケアラーが介護を継続できたとしても、経済的困難、趣味の中断や友人関係の絶縁、就労困難、子どもとのかかわりの不十分さ等の問題も解消しなければなりません。北海道栗山町の「ケアラーズカフェ」は、ケアラーだけでなく、障がい児、子育てママ、介護学生も利用でき、ケアラー同士の交流、介護経験の話などを聞くこともできます。また、介護者に向けた「ケアラー度アセスメントシート」は、介護者の健康状態のチェックを行うなど、様々なケアラー支援が行われています。

ヤングケアラーへの具体的な支援策としては、

● ヤングケアラーについての社会の認識を高めていく。

● 介護者であるその子だけだが支援を担わない。

● ヤングケアラーの語り(経験談)をもとに、様々な支援を柔軟に組み合わせる。

 

が挙げられました。また、ケアラーたちがSOSを出せる仕組みもないため、アウトリーチも必要です。

介護の問題としてだけでなく、学びの保障や労働環問題として捉え、家族全体を社会で支える公的支援が求められます。