海水浴場が開設されない前例のない夏~海の安全対策は? 

県の海水浴場ガイドラインの衝撃

新型コロナウイルスの感染防止があらゆる分野で求められる中、神奈川県は5月21日、海水浴場運営ガイドライン案を示しました。
海の家の完全予約制、イベント中止、砂浜に距離を保つ目印を設置するなどの感染防止策をとるように促す内容でした。
海水浴場事業者組合は、県のガイドラインを遵守した営業は困難であるとして、今夏の海の家の開設を断念、沿岸13市町も次々と海水浴場の開設中止を発表し、県内25カ所の海水浴場は、全て開設されないことになりました。

 

「公共の場所におけるマナー条例」を海岸に拡大

海水浴場が開設されず、例年の監視体制・救護体制がとられなくても、夏の海岸には人がやってきます。
鎌倉市は、「海水浴場のマナーの向上に関する条例」を2015年3月に改正し、迷惑行為としていた砂浜での飲酒と音響機器の使用を禁止行為とする規制強化を行いました。

しかし、この条例は海水浴場の開設を前提としたものです。そこで市は、2019年3月制定の「公共の場所におけるマナーの向上に関する条例」(「食べ歩き禁止条例」だと思われて話題になった条例)を改正して対応することを決めました。
改正内容は、今夏限定で、海水浴場が開設されない海岸での飲酒や音響機器の使用、喫煙、バーベキューなどの行為を行わないようにする努力規定を追加するものです。

 

水難事故防止などの安全対策を要望

水の事故が大事に至るのは飲酒が関係する場合が多く、マナー条例の改正で海岸での飲酒を防ぐことは意味があります。
しかし、それだけでは市民の安全確保には不十分であることから、6月11日の本会議では、マナー条例改正議案についての関連質問を行い、水難事故防止・遊泳者の安全確保策と海水浴場が開設されないことの周知の必要性についての市の考えを質しました。

 

鎌倉市の安全対策

マナー条例改正議案は6月24日の最終本会議で可決し、翌日、市は懸案の安全対策を公表しました。

ライフセービングやマリンスポーツの団体・海水浴場事業者組合・漁協・県との協議を踏まえたもので、材木座・由比ヶ浜・腰越の各海岸の波の穏やかなエリアに幅50m、沖合までの距離50mの「マリンスポーツ禁止エリア」が設けられます。「海水浴目的では来ないでもらう」のが大前提ですが、それでも来訪者が遊泳で海に入る場合に備えて、マリンスポーツとの接触事故が起きないエリアを設定し、ライフセーバー(海岸事故防止員という位置づけ)もエリア限定で配置するという趣旨です。

≪6月25日発表の安全対策≫
1 各海岸に2名~4名のマナーアップ推進員(警備員)の配置
2 コースロープ・ブイの設置によるエリア分け
3 「マリンスポーツ禁止エリア」への海岸事故未然防止員の配置
4 「マリンスポーツ禁止エリア」とマナー条例要請事項の看板設置
5 ごみ箱の設置

海は地域の住民が夏を満喫する場所であり、特に子どもたちにとっては大切な遊び場です。海岸から人を締め出すことなく安全を確保するには、市外からの来訪者も含め、行政、市民、関係団体が協力し合うことが大切です。県は、海岸管理者の役割を果たすことが求められます。